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MILK [映画]

やっと観に行くことができました、映画『MILK』
別ブログでお世話になっている方よりとてもいい作品だとお聞きして、ずっと、ずっと観たい!と思っていた映画です。
全国公開は4月18日。
しかし、地元での公開は田舎のため遅く、5月29日(金)でした。
その日はやはり観に行こう!と息巻いて観に行けずにいた『レッド・クリフPartⅡ』を観に行ってしまったので、さすがに2本は今の私には体力的に難しく(大昔は1日中映画館に閉じこもって同じ映画を4回ずつ観てた^^;)、泣く泣く帰宅。
その後もなかなか事情が許さず、今日こそは行くぞ!と家族にも宣言し準備万端整えていたところ「念のため」と上映時間を確認。

すると!

なんと、たった二週間で上映は終了。
しかも、先週に会ったはずの夜間上映時間が消えている!

更に!

上映時間は昼からのたった1回だけ!!
思わず仕事中に叫びそうになったのを必死で堪え、時計を確認すると既に11時
上映開始は12時5分・・・・・・

急遽「急用ができました」と有給休暇を掻っ攫い、汗だくになりながら映画館へ直行!
本編には何とか間に合って、扇子片手にぜーはー言いながら着席鑑賞と相成りました。

以下、私の感想もどきです。
もどきって言うのは感想半分、ほか半分(以上?)なので^^;

興味がおありでしたら引き続きどうぞ(むちゃくちゃ長いです^^;)


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 今さら書くことでもありませんが、アメリカで初めて同性愛者であるハーヴェイ・ミルクという人が市議会議員という公職に就いた史実をもとに、彼の半生を描いたお話です。

このブログで書いたかどうか、すでに記憶にないのですが、私は『いい作品』と言われると観に行かなくなる性格。
天邪鬼だってこともありますが『良い』って聞いちゃうと『良くて当たり前』になってしまい、本当はとても良い作品なのにこんなもん?と思ってしまうから。

当時、大流行した『タイタニック』も未だに観ていないし、見ようとも思わない(^^;
デカプリオでしたっけ?
主演俳優が苦手と言うのもありますが、当時、誰も彼もが「すごく良いよ」「絶対に見るべき」「間違いなく感動するから!」と口を酸っぱくして勧めてくれたけど、言われれば言われるほど、絶対に観ない!と心に誓ったのでした(若かったから今以上に天邪鬼で^^;)


主演俳優といえば、今回のミルク役のショーン・ペンも、正直に言ってかなり苦手です。
外見がすでにNG[あせあせ(飛び散る汗)]
けど、さすがにアカデミー賞(実はこの賞にもまったく興味がない[あせあせ(飛び散る汗)])主演男優賞を獲得しただけありますね。
彼に対する視線は確実に変わりました。

素晴らしい!!

実在のハーヴェイ・ミルクを知ってるわけじゃないので真実はわからないけど、本当にこんな人だったんじゃないかなと思ってしまうほどリアルでした。

役者には二通りいると思ってます。
「自分を役に近づける役者」と「役を自分のものにする役者」

私の好きなタイプは前者。
その人自身が消えてしまって、まったく違う人格になれるのってスゴイと思う。
本当はすごく可愛い人なのに、凶悪で冷徹なやつにしか見えなかったり、おとなしい人が賑やかでお喋りで豪快な人にしか見えなかったり。
演技とは演ずる技と書くのですから、自分がどれだけそれを演じきれるのかってことが問われるものなのかな・・・と理屈つけてみたり^^;
まさにガラスの仮面を被れる、そんな役者さんが好きです。

今回、はじめてマジマジとショーン・ペンという人の演技を見て、外見だけで拒絶していたことを深く反省(._.)
彼はまさに私の好むところの役に近づく役者だったと知りました。

まぁ、もっとも好きになったのかと言われると・・・^^;
でも、他の記事でも書いているように、好き嫌いだけでその人の演者としての判断はしていないつもりです。
好きとか嫌いとかははっきり言って嗜好の問題だから、この際、棚の上に放り投げたいと思います。


映画はハーヴェイ・ミルクの最後のコメント・・・つまり遺書みたいなテープを録音しているところからはじまります。
と言うより、その回想シーンと交互に綴っていくという感じでしょうか。

自分の死を想定して、死後に残される人たちへメッセージを贈る。
彼が銃弾に倒れたことは既に周知の事実なんですけど、それを予感していたというのがやはり胸を締め付けました[涙]
しかも、それが政治家だからというのではなく、彼が同性愛者と言うマイノリティだからと思うと、なんとも言えない切なさを感じます。

「古今東西、少数派は悪である」そんな考えは20世紀も後半に差し掛かった当時でも、いえ、21世紀を迎え世界中がこんなに科学的になった今でも横行しているのですよね。


映画の中で、彼は何度かカムアウトをすべきだと主張するシーンが出てきます。
彼自身NYで保険会社に勤める会社員として暮らしていたときは周囲に怯え、頑なにその事実を隠していたのに、です。
そのことでは、恋人であるスコットにも詰られてましたが、それって本当に必要なんでしょうか?

私は男が好きです!って宣言して歩いてる女性も、俺は女が好きだって公言して歩いてる男性も見たことない。
なぜ、ゲイだけが、レズビアンだけが、そんなことが必要なんですか?
同性愛者に尋ねたい一番の疑問点かも。

私は自分がマジョリティだとかマイノリティだとか考えたこともないけど、へそ曲がりだから人と同じになるのは嫌がるほうでしたね。
そういう意味ではマイノリティ?
小学生のとき、クラスのほとんどの子が「外国ならアメリカに行きたい!」って言うのを聞いて「絶対アメリカなんて行かない!アメリカは嫌い」と思い込んでいました。
もちろん、今はそんなこと思っていませんよ(念のため)


こうして私の感想はどんどんズレるんですね^^;


ちょうどこの映画が全米で公開されたころ(だったと思うのですが)カリフォルニア州でProp8という条例の賛否が問われていたようです。
内容は確か「結婚は異性間のみで成立する」とか言うもの。


偶然なのか、映画の中ではProp6の案件を巡って国内が対立していたようです。
こちらはもっと人権を無視するような内容でゲイは学校の先生として認めないというような感じのもの。
それ(ゲイ)を支援する人も認めないとか・・・

この法案を聞いた瞬間、どうやって判断するつもりなんだろうって思ってると、当然当時の人だって同じ事を疑問に思うわけで住民が当局(?)側の人に訊ねてるシーンがあったのですが、「試験をする」みたいなことを応えていました。

同性愛者か異性愛者かって試験でわかるものなの?
はぁ?!って感じです。

Prop8は結婚問題だったので、子孫繁栄、国力保持の観点から見て、百歩どころか百万歩くらい譲って仕方ないとしましょう。
しかし、教師にゲイかストレートかって何の関係が?
一体、カリフォルニアの公立学校では何を教えるんですか?
小学生から性教育?
それだけ?
国語や算数、理科、社会に大人の性的嗜好なんて関係ないでしょう。
バッカみたい!

そんな馬鹿げたことを真剣に考えている20世紀後半の「自由」だと信じていた「最先端の先進国」だと思い込んでいたアメリカで行われていたなんて!

もちろん、神様はちゃんと見ていたようでそんなくだらなくも馬鹿げた法案は否決されたのですが、先だって行われたProp8の方は可決されてしまったようです。
先ほど百万歩譲ってそれが正しかったとしようと書きましたが、子孫繁栄、国力保持のために結婚があるのだとすれば、「結婚は子供を生むことができた男女間のみに許される」すべきですよね。
愛を確かめ合うための結婚なら性別は関係ないはずですから、生産性を問う結婚なら異性間でも子供を生むことが大前提で、でも、相性が悪くてできない夫婦や作らない夫婦って言うのも生産性って言う観点からすれば犯罪行為ですからね、認めてはいけないと思います。

結婚という日本の場合では紙切れ1枚の行為がなぜそんなに問題なのか私にはわかりませんが、結婚したいって思うのはきっと相手が好きだからなんでしょう。
好きな人と一緒にいたいって思うから結婚したいんだとすれば、やはり「異性」と区切るのはおかしいんじゃないかなって思う。
人間の本質の部分だから頭で男とか女とか考えられる問題じゃないんじゃないかしら。

私なんて結婚に興味のないマイノリティですけどね。
そう言えば昔そんなことを言ったらゴキブリか化け物でも見るみたいな目で見られたことがあったっけ・・・


Prop8の話題続きで、先日、アメリカでは政治と宗教が密着していると聞いたんですが、無宗教に近い日本国にいる私としてはその感覚がいまひとつわからなかったんです。
それがどういけないのか、信心する気持ちと国を治めることと何の関係が?!

けど、なんとなくわかったような気がします。
政治と宗教が一体化しちゃいけないんだってこと!
そうすると魔女狩りが起こるだってこと。

日本でも変な宗教団体がときどき問題視されてますが、一番は信者を洗脳してしまうことだと思うんですね。
常識的に考えてあり得ない凶行に走るっていうか。

まさに、彼らもそれじゃないかと。

キリスト教は基本的にいい宗教だと思ってます。
キリストの教えは、人はみな神の元で平等であり、自由であり、広く大きな心をもって互いを愛せ、と謳っているんだと思います。

しかし!
これを曲解した信者はなにもその通りにことを運んでいない。
人は政治の元で自由であり、多数決によって多数派になった人だけが平等であり、同じ信者だけ愛しなさい。

聖書には「隣人を愛せ」とか「左の頬を打たれたら右の頬を差し出せ」とか人を愛し許しなさいって書いてあるはず。
どこにも「マジョリティに限り」なんて言葉は書かれていないはずなのに・・・


脱線しすぎてますね;


とにかく、こんな近代社会において中世の魔女裁判みたいなことが起こっていたという事実に、驚きっていうか、呆れる・・・


この映画を見ていてふと思い出したのがずいぶん昔に観た『トーチソング・トリロジー』という映画でした。
やはりゲイを扱ったノンフィクションの社会派の映画で、主人公はゲイというだけで自分の母親からも疎まれ、恋人は路上で撲殺されてしまう。
やはりやり場のない憤りを感じたのを覚えています。

たまたどちらもゲイを取り扱った映画だったわけですが、作品としてとても考えさせられるし、胸を打つし、いい映画だなと思いました。


冒頭でハーヴェイが恋人になるスコットに出会う場面。
彼は最後の30代を共に過ごし、40歳を迎えます。
「40歳になるのに、ぼくは何ひとつ誇れることをしていない」

知人はそれを聞いたときとてもショックだったと言っていましたが、私は40歳までに何か誇れることをしている人はもちろん素晴しいと思うけど、40歳になった時にそう気づければそれでいいんじゃないかって思います。
そうやって気づくことが大事で、気づいたならそれを目標に努力できるはず。
ミルクもそんな人生を選んだんじゃないかって思うんです。

私も、折角彼にそう気づかされたのだから、誇れることはできなくてもそれに向かって努力できる人になりたいな。
え?
もう、遅いですか?[あせあせ(飛び散る汗)]

そして、その後を暗示するかのように50歳の誕生日について話すのです。
フラッシュバック・シーンでそこが流れると、もう、画面は水槽のなか・・・いや、私が水槽のなかに潜ってしまっていました。

彼は天命を知ることなく、志半ばにしてこの世を去ります。
それは、怪文書の予告どおりでも、彼が恐れていた同性愛者に対する糾弾でもなく、嫉妬と偽りに歪んでしまった同僚の銃弾。

史実だから変えようがない真実なんでしょうけど、こんな風に彼は命を断たれてしまうのかと思うと、息もできないくらい苦しかったです。


先月だったでしょうか、某N○Kさんでサンフランシスコの街を紹介するような番組が放送されていて、何気なく見ていたのですけど、カストロをはじめ、現代の街の様子を散歩しながら見ているようにカメラが動いていたおかげで、映画を見ながら、訪れたことがあるような気になって懐かしささえ感じることができました。
N○Kさんに感謝です。


噂に聞いていたプライド・パレード。
きっと今はもっと派手で壮観なんだろうな・・・
でも、裸は微妙です(-_-;)
同性愛者が嫌われる理由にそんなところもあるのかもしれない・・・と、そこだけは私も遺憾に思いました。


映画『MILK』を製作した方の意向を実は知りません。
けど、この映画はひとつの作品として、ミルクという人の人間としての生き様に感動できるものだと思います。
ゲイ映画だから、と偏見をお持ちの方がいらっしゃるようでしたら、ぜひ、そういう視線を捨てて一度見てみるのも悪くないと私は思います。


最後に今でも活動を続けている作中の登場人物が紹介されていました。
彼らがそんな運動をしないで済む時代が来ることを心より祈りたいと思います。

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コメント 2

蛍

隠れ家を教えて頂いてありがとうございました^^
ショーン・ペンはほんとに凄かったですよねv
でも私も彼がミルクって聞いた時は???って思いました。
似てないし…;
後、彼がラブシーンっていうのも見たくなかったり…(あ;)
でも観始めたらそういうの全然消えちゃいました♪
彼をミルクの役に決めた人にはきっと分かっていたんですねv

今日はSFのゲイプライドの日だったんですけど、そのシンボルであるピンクトライアングルの旗が放火されました。
ミルクの時代から30年、いつになったら憎しみが止むのかと思うと暗澹とします…。
by (2009-06-29 11:32) 

りっぱchan

コメントありがとうございます。
滅多にいただくことが・・・いや、全然ないので、放置しっぱなしで、レスが遅れてすみませんでした(汗)

確かに、ショーン・ペンとは言わなければ気づかない(それは言いすぎ?)ほど、ミルクになってましたよね。
蛍さんちで写真を比較されてましたが、本人が太ったとか痩せたとか、その程度にしか感じないくらいでしたから(単に目が悪い?)

フラッグは西洋人・・・と言うより諸外国人にとっては特別の意味があるようですよね。
フラッグになんの感情も感じない日本人のひとりといては、やはりその意味も半分も理解できない;;
けれど、そうやって感情をむき出しに批判するのはどうかと思います。
マイノリティ・・・と言うより自分と違う人を否定するって、個人の意見を尊重する個人主義国家のわりに矛盾の多い人たちですね。
憎しみはなにも生まないと言うのに、本当にクリスチャン?
聖書を一から読み直した方がいいのではないかと・・・
この先、和解できる日が来ることを切に願うばかりです。

by りっぱchan (2009-07-03 08:30) 

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